各種許認可
土地利用に関する各種許認可
土地利用に関する規制について
「自分の土地だから、思うように使いたい」所有者ならば誰もが思いそうな事ですが、無秩序な土地利用を抑制するという観念から、利用を規制する法律が色々と定められています。その法律により、地域ごとの土地の使い方が定められており、その定められた使用方法しか認められません。
土地利用に関する法規制は都市計画法を始めとして、建築基準法、農地法、宅地造成等規制法,道路法,等多岐にわたり、複雑に絡み合っています。
又、その法規制に対する許認可を受けるには、相続や借地権等の権利関係に対する法的知識も同時に必要であります。更に、法的要素のほかに測量や設計、図面作成などの技術的要素もかなり多く、技術と知識が必要となります。
当事務所は境界測量や登記という不動産を守る業務だけに留まらず、不動産の有効活用をサポートするため、土地利用に関する各種許認可申請の代行を測量士・土地家屋調査士・行政書士・宅地造成技術者という総合的な不動産関連有資格事務所として幅広く請け負っています。
豊富な実績と法律知識及び技術の融合により、複雑に絡み合った土地利用関連の許認可を効率的に得る事ができます。
農地法に関する許可申請
農地を売買したり、農地を宅地にするなど農地以外に転用する場合には、農地法に基づいて都道府県知事や農業委員会の許可が必要となります。
農地法の許可申請手続きには次のようなものがあります。
農地の権利移動の許可(農地法第3条)
農地又は採草牧草地について売買等による所有権移転や地上権等の使用収益を目的とする権利の設定に必要な許可です。土地の所有権移転登記や、地上権等の設定登記に添付する許可書です。
農地転用の許可(農地法第4条・第5条)
農地を農地以外のものにするときに必要な許可です。法第4条申請は自らが所有する農地を転用するときに必要な許可です。法第5条申請は農地の転用と所有権の移転、賃借権等の設定を併せて行うときに必要な許可です。
農地転用とは
農地転用とは、農地を農地以外のものにすることであり、具体的には農地に区画形質の変更を加えて、住宅、工場等の用地にしたり、道路・水路・山林等の用地にする行為をいいます。また、農地の区画形質に変更を加えない場合でも、駐車場、資材置場に利用する行為も農地転用に該当します。
このような農地転用行為をするには、許可又は届出が必要です。
農地転用の許可を受けていない無断転用者には、農地法違反として工事の中止や元の農地に復元させるなどの命令が下り、これに従わない場合には罰則が科せられます。必ず農地転用の許可又は届出を行いましょう。
売買契約や登記との関係
農地の売買契約は、農地転用の許可が得られないうちはすることができません。したがって、停止条件付売買契約や予約契約をするにとどまります。その後、知事の許可を受けたときに本契約とする必要があります。
また、許可が得られないうちは本登記をすることもできません。しかし、買主の地位を守るために知事の許可を停止条件とする所有権移転の仮登記をするのが一般的です。
農地転用の際の注意点
農地転用の許可の基準には、立地基準(農地の営農条件及び周辺の市街地化の状況からみて区分し判断する基準)と一般基準(農地転用の確実性や必要な法律等の許可の見込みなどを審査する基準)があります。市街化調整区域の農業振興地などは、許可の要件が厳しく原則として不可とされています。
農地転用が許可されるかどうかは、その周辺の状況や転用の用途・性質により異なるので、事前に管轄農業委員会に問い合わせが必要です。
非農地証明願
土地登記簿の地目が農地になっている土地で、その現況が農地以外の土地になっているものについて、農地では無い事を証明する手続きです。
農地法第2条第1項の「農地とは、耕作の目的に供される土地をいう。」と定義された農地以外の土地(以下「非農地」という。)で、登記簿上の地目が田または畑であり、次の用件に該当されているものについて、所管の農業委員会が証明するものです。
- 昭和27年10月20日以前に非農地としたもの。(農地法の施行以前の転用)
- 自然荒廃により、雑木等が繁茂した土地で、農地への復旧が困難な土地(耕作放棄後20年以上経過)
- 自然災害を受けた土地で、農地への復旧が困難な土地
非農地証明」を取得するには、上記の一つに該当することを客観的に証明する証拠(航空写真・家屋登記簿謄本・課税証明等)が必要である。
上記に該当しない場合は、農地法第3条第4条第5条(農地転用)の許可申請となります。
農振除外申請
農用地区域とは、「農業振興地域の整備に関する法律(農振法)」に基づき、農業振興地域内の農地で特に農業上の利用を確保すべきものとして市町村長の定める農業振興地域整備計画によって設定された区域です。農用地区域内の土地を農業以外の用途に供することは原則できません。
やむを得ない理由により、宅地、工場用地など農業以外の用途に供する場合は事前に農用地区域からの除外申請が必要となります。
農用地の除外要件
- 農用地区域以外に代替すべき土地がないこと
- できる限り農用地区域の周辺部で、周辺農地に与える影響が軽微であること
- 除外後も農地の集団性が保たれること
- 土地基盤整備事業完了後8年を経過しているものであること
- 農業用水路などの農用地設備の機能に支障を及ぼさないこと
ただし、転用目的・申請地によっては農用地区域の除外ができない場合があります。
宅地造成工事許可申請(宅地造成等規制法)
「宅地造成等規制法」は宅地造成に伴うがけ崩れまたは土砂の流出に土る災害を防土するため、宅地造成に関する工事等について必要な規制を定めた法律です。
この目的を達成するため、法律で災害の土ずるおそれのある市街地または市街地になろうとする区域を「宅地造成工事規制区域」に指定しています。この区域内において一定規模以土の宅地造成工事を行う場合には市長または都道府県知事の許可を受けなければなりません。ただし、都市計画法の開発行為許可を得て行われる宅地造成に関する工事については、本許可は不要となります
宅地造成とは、宅地以外の土地を宅地にする目的で行う、または、宅地において行う、土地の形質の変更で政令で定めるものをいいます。
政令で定める土地の形質の変更
- 切土であって高さが2mを超える崖を生ずるもの
- 盛土であって高さが1mを超える崖を生ずるもの
- 切土と盛土の合計が2mを超える崖を生ずるもの
- 切土又は盛土をする土地の面積が500㎡を超えるもの
対象地が宅地造成工事規制区域に該当するか等、詳しくはお問い合わせ下さい。
都市計画法に関する許可申請及び関連法規
開発行為許可申請
開発許可制度の概要
開発許可制度とは、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るという都市計画法の目的を達成するため、「開発行為」をするにあたり、一定の基準を設けて許可がいるようにした都市計画法上の制度です。
開発行為とは
都市計画法上、「開発行為」とは、「主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う区画形質の変更をいう。」と定義されます。
区画、形質の変更とは下記のようなケースが該当します。
- 区画の変更・・・道路築造や擁壁設置等による土地の物理的状況の区分の変更
- 形質の変更・・・切土・盛土等による土地の物理的形状の変更
家を建築したり、特定工作物(コンクリートプラント、ゴルフコース、1ha以上のレジャー施設等)を建設するにあたり、上記のような行為を伴う場合が開発行為に該当します。
なお、下記のような場合は開発行為に該当しません。
- 区画形質の変更が行われる土地に建築物の建築または特定工作物の建設をしない場合
- 特定工作物以外の工作物の建設を目的とする土地の造成(鉄塔建設のための造成など)
- 単なる土地の分合筆(権利区画の変更)
- 既存宅地における建築に伴う整地、基礎打ち等建築行為と一体不可分の形質の変更
開発許可を必要とする場合
都市計画区域または準都市計画区域において開発行為を行う場合、行為の着手前に都道府県知事(指定都市、中核市、特例市は市長)の許可を受けなければなりません。
開発許可の申請は、次のような場合に必要です。
都市計画区域 | ①市街化区域 | 1,000㎡以上の開発行為 |
②市街化調整区域 | 一定の場合を除く全ての開発行為 | |
③未線引区域 | 3,000㎡以上の開発行為 | |
④準都市計画区域 | 3,000㎡以上の開発行為 | |
⑤都市計画区域外 | 10,000㎡以上の開発行為 |
淡路地域では、③都市計画区域の未線引区域 と⑤都市計画区域外のみが存在しています。
良環要綱
正式には、「良好な地域環境を確保するための地域社会建設指導要綱」といい、兵庫県独自の指導要綱です。
都市計画区域の外でも、良好な市街地整備の水準が確保されるように都市計画法の開発許可制度に準じて制定されたのが良環要綱です。
したがって、開発行為を行う場合、都市計画区域内では都市計画法に、都市計画区域外では良環要綱にそれぞれ基づき、許可又は承認を受けなければなりません。
淡路地域では、都市計画区域外で開発面積が3000㎡~10,000㎡の開発行為に適用されます。
ここでの開発行為とは都市計画法と同様であり、主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う区画形質の変更をいいます。
緑条例
正式には、「緑豊かな地域環境の形成に関する条例」といい、兵庫県独自の条例です。
緑を軸とし、広域的な見地から土地利用を考えながら、自然に配慮した開発を誘導することにより、自然と調和した地域環境の形成を図ろうとする条例です。
淡路地域では、平成7年から緑条例を施行しています。
1,000㎡以上(一部の区域は500㎡以上)の規模の開発行為を行おうとする場合は、市や県との協議、届出等の手続が必要です。ただし、自己用住宅の新築・増改築や通常の管理行為、軽易な行為などは、対象外です。
開発工事に際しては、環境形成区域ごとに定められた緑化修景等の基準をもとに、開発地の森林の保全や建物の周辺の緑化などが必要となります。
ここでの開発行為とは都市計画法と同様であり、主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う区画形質の変更をいいます。
道路法に関する許可申請
道路占用許可申請(道路法32条)
占用許可申請とは、道路や水路に工作物などを設けて継続して道路や水路を利用したい場合に行う申請です。
このような場合に必要となります
- 道路敷地に水道管、下水道管、ガス管などを布設したい場合
- 道路敷地(またはその上空)に電柱や電線などを設置したい場合
- 道路上に工事用の足場や仮囲いなどを設置したい場合
- 宅地の排水のため、道路を横断して配水管を設置したい場合
- 宅地への乗入のため、水路に橋や蓋を掛けたりしたい場合
道路工事施行承認申請(道路法24条)
道路工事施行承認とは、管理者以外の者が行う道路や水路の工事に関する申請のことをいいます。承認工事により設置された工作物等は市町村に帰属・管理されます。
このような場合に必要となります
- 自動車の乗入口がない土地に店舗や家を建てるなど、新規に乗入を設置したい場合
- 排水先の確保のために、新規に道路に側溝などを布設したい場合
- 宅地への乗入のため、水路に橋や蓋を掛けるなど水路に構造物を設置したい場合
- 排水のために水路へ排水施設を接続したい場合
道路位置指定(建築基準法第42条第1項第5号)
都市計画区域内においては、建築物の敷地は原則として建築基準法で定められた道路に2m以上接しなければならないとなっています。道路のないところに新たに幅員4m以上の私道を築造し、建築基準法で定められた道路とするには、道路の位置指定を特定行政庁から受けなければなりません。これが道路位置指定です。
土地を宅地造成して分譲しようとする場合も分譲される各敷地は基準法上の道路にそれぞれ2m以上接している必要があります。
ここで言う「道路」とは次のようなものを言います。
- 市町村道などの道路法による道路
- 土地計画法、土地区画整理法、その他の法律による道路
- 都市計画区域に指定された際に存在している道→二項道路
- 道路法などによる事業計画のある道路で、特定行政庁の指定したもの
- 特定行政庁から位置の指定を受けた道→位置指定道路(幅員4m以上)
図のような分譲をする場合、A・B・Dの区画が上記建築基準法を満足させるためには、道路位置指定を受ける必要があります。
道路の位置指定を受けて土地利用を図れる敷地は、原則として都市計画区域内で開発区域の面積が3000㎡未満(淡路地域の場合)の小規模なものに限られ、開発面積が3000㎡以上の区画形質の変更は道路位置指定ではなく開発許可となります。
また、都市計画区域外の開発の場合は、道路位置指定は適用されません。
工作物の確認申請(建築基準法)
宅地造成工事規制区域外で開発許可を伴わない場合の土地造成で、切土・盛土の有無に関係なく、高さが2mを超える擁壁を築造する場合、建築基準法が準用され、工作物の確認申請が必要となります。
開発行為許可申請や宅地造成工事許可申請を伴う造成の場合は、工作物確認申請は各許可で審査するので不要です。
官有地用途廃止・売払申請
公共用財産(法定外道路・水路等)の中で、道路や水路としての用途目的を失っており、将来に渡っても公共の用に供する必要がない場合には、道路等の用途を廃止し、その後に売払いをすることが可能になります。
また、対象財産に機能がある場合は代替施設を設置することにより用途廃止後払い下げまたは交換が可能となる場合があります。(付替申請)
- 用途廃止とは、道路や水路としての利用目的を失くし、行政財産を普通財産にすることです。
- 売払いとは、財産を有償で譲渡することをいいます。
用途廃止・売払の作業手順
- 測量(官民境界協定申請)
- 用途廃止申請
- 売払い申請
- 契約
- 表示登記・・・無地番の土地は表題登記、有地番の土地はは分筆登記
- 所有権保存又は移転登記
用途廃止・売払の許可条件
- 現況が機能を喪失しており、将来的に機能を回復する必要がない
- 隣接土地所有者・利害関係人や地元自治会長の同意を得ている
- 代替施設の設置により存在の必要性が無くなっている
- 地域開発等により存置する必要が無くなっている
- 国、地方公共団体が行政財産として存置する必要がないと認める場合。
このような時に必要となります
- 公図を見てみたら、自宅の土地内に使われていない道路や水路が記載されている。
- 新たに建築する際に、所有地内の廃止水路の売払いを受けるまでは、土地を担保にできないと金融機関に言われた。
- 自宅の隣の使用されていない道路を自宅の一部にしたい。
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